The World Will Tear Us Apart 『Let's Get Lost』制作ノート - 4.「こどもの国」

4曲目「こどもの国」について。

 

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この曲も Chill in the Rain 同様に2012年頃、ドラムレスの編成でループ中心の楽曲作りを試み始めていた時期に生まれた曲です。谷井さんがコードとベースラインのアイデアを持ってきて、富永がトラックを打ち込みました。仮タイトルは「アヴリル」(おそらくアヴリル・ラヴィーンから…)。

当時、インディR&Bやトラップという言葉は(少なくとも私は)知らず、この曲のことはダブステップと言っていた気がしますが、いま聴くと全然違うことが分かります…。漠然とスローなBPMと32分の刻み、サブベースが鳴っている曲というイメージでした。2012年時点で既にこのような楽曲を演奏していたことは驚きに価します(?)

この曲では私のギター演奏もループ主体の楽曲に合わせてミニマルな方向に向かっています。スライド・ギターを入れるアイデアは今となってはどのような経緯でそうなったかは思い出せないのですが、デジタルなビートに対してオーガニックなサウンドのミスマッチを狙ったものだったと思います。ブルースを感じさせないスライド・ギターは U2 の The Edge の影響が大きいです。ちなみにハワイアン~カントリー以外のスライド・ギターをブルースでないフィールドに持ち込んだ大物はジョージ・ハリスンと言われているらしいです。

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2011~2012年頃の我々は北堀江 Club Vijon や 心斎橋 FANJ、中津 Vi-code など大阪のライヴハウスに出演することが増えていました。この映像は國府さんが microKORG XL でベースラインを弾いている初期の編成のものです。

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ライブと並行して音源制作も進めており、当時は TJAC/Chill in the Rain/Sundayを「青盤」、こどもの国/When She Sleeps/HAPPYEND を「赤盤」としてリリースする案もあった気がします。結局TJACEPは配信でのリリースとなり、2nd EP の案はお蔵入りとなりました。

当時レコーディングした音源のラフ・ミックス・ヴァージョンは SoundCloud で聴くことができます。(サークル部室でのセルフ・レコーディングです。)

 

また、この曲にはアコースティックなアレンジの別バージョン(私によるセルフ・リミックス)が存在しており、所属サークルのコンピレーションアルバムに収録されました。

 

その後、アルバム制作が長引く中で2014年版のテイクはお蔵入りとなり、アルバム収録バージョンは2018年に STUDIO SIMPO で再レコーディングした素材を使用しています。アルバム版では元バージョンに加えて[August mix]のアコースティックな要素を加えたようなアレンジになっています。ラストのCメロは映画音楽のような壮大な感じを目指しました。

アルバム全体のサウンドとしては Rihanna をリファレンスとしていたのですが、どこまで迫れているでしょうか…。

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アルバム『Let's Get Lost』が持つ、テン年代の総括的な空気の一端を担っている楽曲だと思います。

 

次回は5曲目「When She Sleeps」について。