The World Will Tear Us Apart 『Let's Get Lost』制作ノート - はじめに / 制作環境について
はじめに
The World Will Tear Us Apart の活動10年目にして初のアルバム『Let's Get Lost』が2019年12月25日にリリースされました。(http://hyperurl.co/uuyx1u)私はギター演奏のほか全曲のミキシングを担当しています。
リリースから3ヶ月が経ち、制作にまつわるあれこれを書き残しておきたくなったので少しずつ書いていこうかなと思います。アルバムをより楽しむための資料、あるいは音源制作を始める際のヒントとして役立てていただけると幸いです。
作詞・作曲をやっているのは私ではないのでミックスやサウンド面の話が中心になるかと思います。
制作環境
DELL Vostro 3558(通販とかでよくあるラップトップPC。就職時に購入。)
OS: Windows 10
メモリを4GB→8GBに増設
ハードディスクをSDD(500GB)に換装 これでかなり作業が快適になりました。
DAW:Ableton Live 10 Suite
もともと富永(Programming)がライブでの演奏用に Ableton を使用していたのでその流れで私も同じDAWを使っています。
オーディオインターフェース:Focusrite Scarlett Solo G2 見た目が最高。今は後継機種のG3というやつが出てるらしいです。
ヘッドフォン:AKG K240STUDIO 素直でクリアな音。装着感も良く、なにより安い。
生活環境の都合上ミックスはほぼヘッドホンで行い、ときどきYAMAHAのNX-50(普段リスニングに使っているパワードスピーカー。可愛くて音がデカい。オススメ。)で確認する程度でした。ミックスの最終確認は STUDIO SIMPO をお借りしてSIMPOの機材で行いました。
機材は比較的安価に入手可能なものがほとんです。
制作環境・機材については Fragile Flowers 青鷗さんに相談に乗ってもらったのが大きかったです。持つべきものは宅録友達…。
レコーディング
※Twitter のこちらのタグでレコーディングの様子を垣間見ることができます。
素材の9割は京都の STUDIO SIMPO にて録音。(エンジニアは小泉大輔さん。)
SIMPOでのレコーディングは2017年12月2,3日と2018年2月4日に実施。
一部のヴォーカル素材(S.O.S. / September Song / こどもの国 あたり?)はリテイクのため普通の練習スタジオで私のPCを使ってセルフレコーディングしています。
過去にレコーディングしたテイクから流用している素材も少しだけあります。(京都大学軽音楽部仮ボックス、防音室などで録音。)
エレキギター関連
私の録音パートについて。今回はすべて Fender Mexico のストラトを使用。
アンプはすべてVOX MV50AC。マーシャルのキャビネットで鳴らしてマイク録り。
歪みはコンパクトエフェクターでかけ録り。(メインの歪みは MAD PROFESSOR Sweet Honey Overdrive Deluxe)
空間系エフェクトはすべてDAW上でかけています。ディレイタイムやパンニング、フィルターの設定など緻密にやれたのでこれは成功だったと思っています。
とりあえず今日はここまで。次回はアルバム全体のイメージ、リファレンスなどについて書きたいです。
2017年よかったもの
音楽中心に順不同でいろいろ書き連ねていきます。
↓今年は プレイリストを作ってみたのでこちらもどうぞ。
https://itunes.apple.com/jp/playlist/2017-favorite/pl.u-GgERudNrVLx
↑Apple Music 版はこちら。(Kurt Rosenwinkel だけ無かったので抜けてます)
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Colony House 『Only The Lonely』
2017年リリースのアルバムの中では特にお気に入り。僕の大好物であるスタジアム・ロック的なものとインディ的なものがいい塩梅で折衷されていると思います。
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Batsch 『Batch』
イングランド/コヴェントリー出身のオルタナティヴポップバンド Batsch のデビュー・アルバム。ツイッターで Banana Collection のウメザワ君がツイートしてて知りました。↑の曲のアウトロのギターが良すぎて何かの間違いで僕が弾いたことにならないかなと思っています(ならない)。後半レアグルーヴっぽいノリが出てくるのもシブいです。
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U2 『Songs Of Experience』
前作『Songs of Innocence』と対になる形でリリースされることが予告されていたU2の新作。「自分が死んだかのように書くのだ」とのコンセプトのもと、ボノの家族やファンを含む親しい人々への手紙という形をとった曲が収録されています。
そのようなコンセプトに加えトランプ政権誕生以降のムードもあり、全体的に重めな曲が続く中で飛び抜けて明るい「The Showman」がお気に入り。"僕は生活のために嘘をつく / 虚勢を張るのが大好きなのさ / だけど君が一緒に口ずさんでくれると / それが本当になるんだよ…" という詞がパフォーマーとオーディエンスとの関係性をうまく言い当てていてグッときます。
サウンド面では随所でU2のトレードマーク・サウンドを展開させながらも、前作から続くジ・エッジのファズ狂いっぷりや前作のツアーから使用しているフェンダー製シグネチャーアンプの艶やかなクリーンサウンド、アコースティックな質感、そしてここに来て大きな進化を遂げているアダムの骨太なベースなど聞き所が多いです。
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Syrup16g 『delaidback』
(ついにアルバムリリース時に公式でMVが作られなくなってしまった…笑)
再結成後Syrup16gによるdelayedシリーズ3作目。綴りが変だなと思ったらレイドバックとかけてるんですね。初期の曲から「犬が吠える」時代の曲までが収録されていますが、一部は現在のモードで書き直されているようで統一感があります。
今となっては "ひとは独りでも生きていける" (「upside down」)と必ずしも思えませんが、それでも五十嵐隆が10年越しでそう歌ってくれたおかげで10代の頃の自分が救われたような気がします。
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京都のバンドギリシャラブのファースト・アルバム。前作のパワーポップ的な要素は薄れ、よりストレンジかつポップな方向に突き進んだ傑作。シリアスなものとユーモラスなものは紙一重であるということを感じさせてくれます。年末のレコ初ライブでの演奏も素晴らしく、新曲(↓)も発表されておりこれからがますます楽しみです。
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Transit My Youth 『FAN CLUB』
自分も参加しているのでここで挙げるのは反則(販促)な気もしますが……。
大阪のオルタナティブ・インディ・シンセポップバンド Transit My Youth のファースト・アルバム。独白のようなヴァースからサビの合唱になだれ込むカタルシス、「孤独をアンセムとして歌うこと」こそが彼らの真髄だと思っています。ジャクソン5的なノリとJ-POP的なメロディが合体した「Help」がお気に入り。"嗚呼 どんな声を出して / 何を伝えたいんだろう? ねえ / 本当は何もないさ / 僕ら叫ぶだけ"。
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SEKAI NO OWARI - ドーム・スタジアムツアー2017「タルカス」
2017.2.11 @京セラドーム大阪
ずっとライブを見に行きたいと思っていた SEKAI NO OWARI のドーム・ツアー。巨大な「Tree」がそびえ立つ360°ステージや、MCなしで物語パートと演奏パートが交互に進行していく構成が面白かったです。オーケストラ(物語パートの伴奏も務めるんですがこれがとても良い!)を率いた大人数の編成も巨大なステージに映えていました。
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少女都市『光の祭典』
2017.4.30 @大阪市立芸術創造館
葭本未織さんを主宰とする劇団「少女都市」の第2回講演。映画サークルを舞台に繰広げられる青春群像劇。本作で扱われている題材としては「女性」「暴力」「震災」などがありますが、そのどれもが紋切り型に描かれていないのが本作の魅力だと思います。性暴力事件の組織的な隠蔽や被害者への抑圧、ハッシュタグ #MeToo による告発が話題となっている今、「他者から与えられた暴力を、また他の他者へ還元することなく克服することはできるのか?」というテーマの重みは日に日に増しているように感じられます。2018年には兵庫県伊丹市での再演が予定されているようですので、ぜひとも足を運んでみてください。
【 光の祭典・再演決定! 】
— 少女都市 GirlsMetropolis (@shoujo_toshi) 2017年10月7日
平成30年度 次世代応援企画break a leg 参加団体へ選出され、兵庫県伊丹市AI・HALLにて『光の祭典』の再演が決定いたしました。
詳細は追ってお知らせいたします。https://t.co/HQ3TfJKyNO pic.twitter.com/9B1i7w9HfU
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小林エリコ『この地獄を生きるのだ うつ病、生活保護。死ねなかった私が「再生」するまで。』
↑紹介は公式サイトが詳しいです。
生活保護受給者となり、生活保護から抜け出した著者による貴重な証言。ブラック企業、精神障害、生活保護など重いテーマを扱ってはいるものの読みにくさは一切無く、ひき込まれるように読み進めてしまいました。病院で働いている身としては中盤の医療と金の問題、ケースワーカーの怠慢などが印象的でした。これらの問題を自分にも起こりうることだと考える人も、遠い世界の話だと感じる人も、本書で彼女の人生を追体験する価値はあると思います。
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2018年は The World Will Tear Us Apart のアルバムでみなさまの年間ベストに食い込めたらいいなと思います。
それではみなさま、良いお年を。
2016年に聴いた音楽
例によって2016年ベストアルバム!みたいなのをやるほど新譜を聴いていないので、2016年良かったと思う音楽を順不同で紹介します。
今年は例年にも増して知り合いのリリースが良かったです。
来年こそは我々も…。
Mitski - Puberty 2
「思春期2」というタイトルが最高。「Your Best American Girl」 は2016年個人的ベストソングであり、結局のところ私はコンプレックスを昇華した詞とオルタナ的ギターサウンドが好きなんだなと実感させてくれた曲。「I Bet on Losing Dogs」なんかも、絶望的でありながら彼女らしい優しい目線が感じられて好きです。
松ノ葉楽団 - JOURNEY
飲酒系ラグタイムバンドこと松ノ葉楽団のセカンド・アルバム。ライブを見ていても京都の中堅バンドとしての貫禄がどんどん出てきてて、このまま長く愛されるバンドになるんだろうなと思っていた矢先、活動休止を発表。残念です。
新しい曲からライブで長らく演奏されてきた曲までカラフルな9曲が収録。ラストの「傾いた絵」は松葉さんの真骨頂であり普遍的な良さのある名曲。
ぼくは前作 『Everything Will Be Alright in the End』 が大好きで今作はそれほどでもないかなあと思っていたのですが、聞けば聞くほど好きになってきたアルバム。
Easy Yoke - Soft Laws
Easy Yoke / Soft Laws | diskunion.net JAPANESE ROCK・POPS / INDIES ONLINE SHOP
京都を拠点に活動する ネオ・フォークバンド、Easy Yoke のファーストEP。京都にこんな壮大なサウンドを鳴らすバンドが居ること、もっと知られて欲しい。
しずくだうみ - 都市の周縁
ラグチューシャックのラストライブに出演してもらったり、 EPにギターで参加させてもらったりと親交のあるシンガーソングライターしずくだうみさんのファーストフルアルバム。踊ってみた、大喜利、アイドルのプロデュースなど活動は多岐にわたる(?)彼女ですが、このアルバムを聴けば何よりも「うた(=歌詞、メロディ、声)」を大切にしている人物であることが分かるはず。
瑞々しいバンドサウンドにアレンジされた「ぐるぐる」がお気に入り。
Fragile Flowers - Asylum Piece (-True End盤- / -Bad End盤-)
Tenkiame / Boyish 等のメンバーとして活動してきた中邑氏のソロ・プロジェクト。本作を構成する国内外の音楽・小説・ノベルゲームその他からの膨大な引用を追うことは僕には出来ないけれど、この作品に込められた切実さを感じることは容易い。
音楽性は違えど今作は中邑氏にとっての『金字塔』のような作品だと思っているので、これから『太陽』や『ERA』『100s』のような作品を作ってくれることを期待している。(今後はメンバーを迎え音楽ユニットとして活動していくようなので楽しみ。)
For Tracy Hyde - Film Bleu
ヴォーカリストの脱退・加入など 紆余曲折を経てリリースされた For Tracy Hyde のファーストフルアルバム。宅録時代の良さを残しつつも、しっかりバンドとしての作品になっている点が素晴らしい。(とくにこのアルバムにおける Mav 氏のソングライター・ベーシストとしての貢献は見逃せない。)全曲名曲だけど、夏bot / Mav の共作による「あたたかくて甘い海」がお気に入り。
ArtTheaterGuild - 4AM MELLOW DIVERS
ArtTheaterGuild / 4AM MELLOW DIVERS(新装版) | HOLIDAY! RECORDS DISTRO
The Pillows が脱オルタナを宣言した今、第3期ピロウズの精神を継承できるのは ArtTheaterGuild しかいない!(って言ってたんですがピロウズの次作はオルタナ回帰するみたいですね…。)山中さわお氏本人の耳に届いたばかりか、新たにミックスまでしてもらったという夢のような話、羨ましい。
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思い出したら追記するかもしれません。みなさま良いお年を。
Favorite tracks of 2014
例年に増して新譜を買わなかったので、知り合いのバンドとか身近なところの音楽を中心に。順不同。
失敗しない生き方 - 私の街
この曲が入っている「常夜灯」は今年最初に買ったCD。
(アルバム版の音源がネットにありませんでしたが、このライブ映像も凄まじい。)
Amia Calva - retro
TJACEPのジャケットを描いてくださった高石さんがアートワークを手がけているということで知ったバンド。
イントロで吹き飛ばされ、中盤のリフレインは耳から離れません。
ライブも超カッコイイです。
For Tracy Hyde - First Regrets
ボーカルにラブリーサマーちゃんを迎えての新録バージョン。
スタジオ・レコーディングでバンド感が増した演奏にも感動しました。
Teenagers in love - キャロライン
新潟のバンド。東京でのライブを見れなかったのが心残りです。
サビのフレーズ「誰にも好かれない君を 僕だけが愛してあげる」がもう反則…。
asayake no ato - 追想と未来
初の全国流通シングル。盤面が透明なのが可愛かったです。
悩みながらも前進していくバンドの姿が楽曲に表れているのが彼らの魅力だと思います。ガンガン売れてほしいです。
EachRaw - 化石
軽音楽部の後輩バンドの曲。サビでちょっと哀愁漂う感じが好きです。
Superfriends - Million Miles Apart
TWWTUAも参加した Miles Apart Records のクリスマス・コンピ収録曲。
クリスマスソングという枠を超えた普遍的な良さがある名曲です。
(ご結婚おめでとうございます!)
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後で思いついたら書き足すかもしれません。
2015年も好きな曲がたくさん見つかったらいいなと思います。
みなさま、良いお年を。
sho_hashi - works
sho_hashi が関わった今までの作品をまとめました。
HAPPYEND (2012.3.30)
[ステッカー + ダウンロード・コード(1曲入)]
100円 ライブ会場等にて販売
Teenage Jesus And Casualties EP(2013.10.6)
フリー・ダウンロード (4曲入)
京大軽音夏コンピレーション2014〜残暑見舞い申し上げます〜 (2014.9.28)
,
フリー・ダウンロード
「こどもの国[August mix]」にて参加
Miles Apart Records - Christmas Small Gift Vol.2 (2014.12.20)
[カセットテープ + ダウンロード・コード]
800円(税抜)300個限定生産 → 取扱店
「Let It Snow」で参加
Our Song -GRAPEVINE unofficial tribute compilation- 2018/05/06
7曲目「いけすかない」で参加。
少女都市 -『向井坂良い子と長い呪いの歌』
http://ysmt30.hatenablog.com/entry/2019/04/28/213421
第3回公演 『向井坂良い子と長い呪いの歌』 2019年5月21日〜26日
@立教大学新座6号館2階キャンパスロフト1
挿入歌『歌の☆メシアさま!テーマ曲』提供(書き下ろし)
第7回公演『向井坂良い子と長い呪いの歌』 (再演)2018年2月24日~25日
@シアターグリーンBASE THEATER
挿入歌『歌の☆メシアさま!テーマ曲』『Teenage Jesus and Casualties』『Sunday』『Let it snow』提供
1st album『Let's Get Lost』(2019.12.25)
(AAGG-001)
ギター、ミキシングを担当。
『September Song (automatic sessions)』(2020/9/29)
https://twwtua.bandcamp.com/album/september-song-automatic-sessions
『Let It Snow (Don’t Look Back ver.) / Future No Future (New Age Mix)』
(2020/12/25)
『ふりこ町のクリスマス』(2019.12.13)
『フラクタル/うすあかり』(2020.6.7.)
ハーブ / 煙 (2012.7.11)
1.ハーブ 2.煙
CD ライブ会場にて無料配布
NIGAOE EP (2013.5.31)
1.似顔絵 2.アローンとアローン 3.チルドレン
CD 300円 ライブ会場にて販売(完売)
ALONE / TOGETHER(2014.3.13)
CD:1000円 (完売)
ダウンロード:name your price (0円~)
(9曲入)
ALONE / TOGETHER(2017 reissue)(2017.3.14)
ボーナストラック1曲含む10曲入CD 1000円
佐々木伶
プロデュース・トラック制作・ミキシング等担当
『鶏を食べてワイン飲む / 僕に女性を紹介しないで』(2019.12.21)
『春は来る EP』(2020.4.1)
1st album 『ワンマンライフ』 (2021.3.21)
ほか
しずくだうみ - 泳げない街 (2014.12.10)
2曲目「あじさい」、3曲目「オーカー」にギターで参加。
しずくだうみライブ会場、通販、OTOTOY等で販売・配信
KULMC X'mas Compilation 2014 (2014.12.24)
フリー・ダウンロード
「Christmas Night with the Stars」で参加。
Fragile Flowers - Asylum Piece -AIR/君を壊してしまう前に- (2017.5.10)
Transit My Youth - FAN CLUB(2017.12.22)
1曲目「Pray Station」にギター、6曲目「motion」にシンセで参加。
Fragile Flowers - Sheltering Sky/4RD LOVE (2018.6.19)
1曲目「終わる世界の窓際で」にリード・ギター、ギター・ソロで参加。
Fragile Flowers - 「終わる世界の窓際で」 (2021.3.16)
リメイク・バージョン。ギターも再録で参加。
電影と少年CQ -「apple yard」 (2019.6.23)
「apple yard」編曲・トラック制作で参加。
(作曲:しずくだうみ 作詞:長田左右吉)
電影と少年CQ -『クロニックデジャヴのピクチャーショウ』(2020.4.25.)
「apple yard」アルバムバージョン収録。
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はじめました。