The World Will Tear Us Apart 『Let's Get Lost』制作ノート - 2.「Sunday」
本日はアルバム2曲目、我らが代表曲(?)の「Sunday」について。
この曲は我々のレパートリーとしては古く2010年頃からある曲で、ベース・ドラム・ギターのスリーピース編成時代から演奏しています。この映像は國府さん加入直後のバンド編成での演奏です。私がちょっとだけシンセを弾いているのがめっちゃ過渡期って感じですね…。
2012年頃のライブからはドラムレス・ベースレスの編成となり、アレンジもほぼ現在のものになります。私はひたすらライトハンド奏法でシーケンスフレーズを弾いていますが地味に難しくて毎回トチります。個人的には「いつだって~」のところのナチュラル・ハーモニクスのフレーズがお気に入りです。
その後この曲は2013年にフリー・ダウンロードでリリースした『Teenage Jesus And Casualties EP』に収録されることになります。EPのミックス・マスタリングは in the blue shirt こと有村くん。EPには有村くんによるリミックスも収録されています。(このリミックスは当時EPリリースに先立って配信され話題になりました。この曲で我々を知ってくれた方も多いのでは。)
アルバム『Let's Get Lost』にはEP収録の3曲も再収録されていますが、すべて再録バージョンになっています。
今回のエレキギターはVOXの小型アンプヘッドMV50ACをキャビネットから出力してマイク撮りしており「気にしないでね」の後のアルペジオのあたりのキラキラした質感が気に入っています。イントロからなり続けているシーケンス・フレーズはエレキギターの音にDAW上で歪とモジュレーション、ディレイを加えています。
アレンジ面の違いとしてはミドル・エイトの部分にライブバージョンに則したアルペジオとピッチシフターを用いたフレーズ(ほとんど聴こえない…)を加えています。
#twwtua_recording pic.twitter.com/HwTHwWQ0xQ
— tanii 『Let's Get Lost』&『ポートラインより』発売中💿 (@the_sekai) 2017年12月2日
エフェクトのかかったヴォーカルの質感やキックにリバーブが掛かって大太鼓のように聴こえるサウンドは SEKAI NO OWARI の影響が大きいです。エイプリルフールのネタにTHE_SEKAI NO OWARI 名義で「Sunday」と「RPG」のマッシュアップを作ったりもしました。(権利的にアレなので聴きたい人にはこっそり聴かせます…笑)SEKAI NO OWARI はドラムレス・ベースレスの編成が同じということもあり、我々にとってひとつのロールモデルとなっています。世界繋がりですし。
歪んだシンセやギターの質感はレンタルズっぽくしたいという意図もありました。アナログシンセのちょっと外れた音って思春期的なやるせなさを感じさせますよね。名曲…。
そしてこの「Sunday」、ヴォーカルの節回しと歌詞がEPバージョンと変わっているのですが、そのへんの真意は谷井さんが語ってくれるかもしれません…笑
次回は3曲目 Chill in the Rain について。
The World Will Tear Us Apart 『Let's Get Lost』制作ノート - 1.「S.O.S.」
今回からアルバム『Let's Get Lost』収録曲を1曲ごとに語っていきます。
アルバムのオープニングにして先行配信トラック、現時点で我々の最新曲であるこの曲の秘密に迫ってみましょう(?)
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最新曲とは言ったものの、過去のデモ音源を発掘してみると2014年には既にこの曲の原型が存在していたことが判明しました(すでにアルバム制作開始当初の記憶が曖昧)。もともとはアルバムのオープニングとして「Sunday」に繋がるイントロダクション的な小品を想定しており、ドラムループのリズムはサンプリングで作っていました。
↑ジャケットも有名な名盤。ジム・ホールのプレイが最高です。
完成版の音源ではサンプリング・クリアランスの問題から本日休演の樋口くんにお願いして元ネタに近いフレーズを叩いてもらっています。正規メンバーにドラマー(富永)がいるのにレコーディングに別のドラマーを呼ぶのはくるりへのリスペクトです。
樋口くんとは大学時代一緒にビッグバンドをやっていたこともあり、スウィングが叩けるドラマーということでの人選です。実際には1ループのために30分くらい叩いてもらったのでめちゃくちゃ贅沢な使い方をさせてもらっています。ありがとう…。ちなみにドラムの音のミックスのみ、その場でレコーディング・エンジニアの小泉さんにやってもらっています。みるみる元ネタに近い音像になっていくので魔法を見ている気分でした…。
本日のゲスト #twwtua_recording pic.twitter.com/Z3iBVeY3iq
— sho_hashi (@sho_hashi) 2017年12月3日
当初のイメージとしては Sunday に繋がる曲ということで、フィーバーしない土曜日の夜、仮タイトルとして「Saturday Night Chill」 というのがありました。リズム以外にピアノのフレーズのアイデアはあったものの、そこから目立った進捗はないまま放置されることに…。
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時は流れ2018年、The World Will Tear Us Apart は劇団「少女都市」の第3回公演『向井坂良い子と長い呪いの歌』への楽曲提供をさせていただくことに。劇中劇のテーマ曲という位置づけで、脚本・演出の葭本未織さんによる詞にトラックとメロディをつける形となりました。普段のTWWTUAには無い葭本さんの「強い」言葉に導かれるように、谷井さんも「強い」メロディを書いてくれました。
その後、ライブで谷井さんがこの曲のメロディに違う歌詞を載せて Teenage Jesus And Casualties のアウトロで歌っていた時期があったのですが、これをアルバムの冒頭にも持ってくることで統一感が出せるのではないかというひらめきを得て、ようやくこの曲の方向性が見えてきます。
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最初のレコーディング時はまだアルバムのイントロダクション的な小品という位置づけで1分程度だったこの曲ですが、その後谷井さんが追加のメロディと歌詞を書き、追加のレコーディングを行った結果3分半の独立した1曲となりました。
リズムの面では3拍子のシャッフルと4拍子のシャッフルの2つのリズムがポリリズム的に同時進行していくアイデアを試しています。(イントロのトラック・ギターと「歌は途切れて~」のヴォーカルのニュアンスは4拍子、ドラムループと「明かりのない~」「Sing a song~」のヴォーカルのニュアンスは3拍子に近い。)
このあたりのリズム遊びは imdkm氏の記事とツイートに強くインスパイアされています。(その後出版された『リズムから考えるJ-POP史』もオススメです。是非。)(谷井さん曰く途中の歌詞が「リズム、リズム…」なのはたまたまらしい。)
直接の引用元はこの曲です。クラウドベリージャム、好きだ…。
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サウンド面の話ですが、ここまでリリースを引き伸ばしたからには2019年(当初)にリリースする意味を持たせたいという気持ちがあり、デジタルクワイアと Billie Eilsh っぽいトラックに反映されています。(その後リリースまでさらに時間を要したためアイデアの鮮度としては遅きに失した感が否めませんが、結果としてテン年代の総括的なニュアンスは出たのではないでしょうか…。)
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技術的な面の話をするとデジタルクワイアは2通りの作り方をしています。最後の歌おう~の箇所は Waves Ultrapitch でオクターブ上下 を加えた上で Waves Tune Real-Time で上下のハモリを加えて5声(+さらにサブベースを鳴らして厚みを加えている)にしています。歌い出しや Sing A Song~ の箇所は iZotope VocalSynth2 4声でハモらせています。最後のパートを手作業で作ってから VocalSynth2 を買ったのでハーモニーを自動で付け加えてくれる手軽さにびびりました…。
冒頭のリズムトラックと曲を通して鳴っているシンセベースはどちらもフリー音源を使っています。(Studio Linked VST Drum Pro と TAL-NoiseMaker)
どちらも即戦力っぽいプリセットが入っていて愛用しています。
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こうして紆余曲折を経て誕生した「S.O.S.」、最もインパクトのある曲ということで先行配信曲となり、無事に皆様のもとに届けられました。めでたしめでたし…。
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いちばん骨の折れる曲の記事を書き終えてほっとしています。
次回は我々の代表曲(?)Sunday について書く予定です。
The World Will Tear Us Apart 『Let's Get Lost』制作ノート - アルバム全体のイメージ
世間はいよいよ大変なことになってきましたね。不安や苛立ちに負けてしまいそうな日々ですが、『Let's Get Lost』が皆様のささやかな楽しみや心の逃避先、何らかの支えになったら嬉しいです。
今回はアルバム全体のイメージやタイトル、アートワーク等について。あくまでも私の見解なので他のメンバーに聞くと違うかもしれません…。
The World Will Tear Us Apart 1st album の青写真
アルバムのリリース前にこんなプレイリストを公開していました。私がわかる範囲での大まかな影響元です。(他のメンバーに聞いたらまた別のものが出てくると思います。)
個別の曲についてはわりと明確な元ネタがある場合が多いのですがアルバム全体として指針となった作品となると難しいです。(メンバーの中でも共通見解があったわけではないですし…。)個人的には U2 の Achutung Baby みたいなアルバムにしたいという気持ちがありました。夜が似合う、混沌とした、でも不思議と統一感のあるアルバム…。
アルバムタイトル
私がギターを弾いていたラグチューシャックのというバンドの『ALONE / TOGETHER』というアルバムがあり、タイトルはジャズでよく演奏されるスタンダード・ナンバーから取っているのですが、今回も同様にスタンダード・ナンバーから取るのがよいのでは?ということになりました。(Let It Snow、September Song などもそうらしい。)チェット・ベイカー、好きです。
チルウェイヴ的なエスケーピズム(逃避主義)にもマッチしていると思います。あと Feather Shuttles Forever「提案」のキラー・フレーズ「失踪しませんか」も頭にありました。失踪したいですよね…。
採用されなかった案:
Easy Way Out
'Round Midnight
W.A.V.E. (We All Vanished Entirely)
tiny escape
お葬式
etc...
アートワーク
前作『Teenage Jesus And Casualties EP』から引き続き高石瑞希さんにお願いしています。前作から6年経ってしまったことも有り、「お待たせしました」「待っていてくれてありがとう」の意味を込めて前作からの連続性を感じさせるアートワークをお願いしました。結果、前作の世界観を引き継ぎつつ次の世界が見えるようなアートワークを見事に描いてくれました。完成版を見たとき、高石さんにこの絵を描いてもらうためにアルバムを作っていたんだな…とまで思いました。
高石さんのウェブサイト内、TWWTUAのコーナー(ありがたい!)にてジャケット絵のラフバージョンなどが見られます。
次回は紆余曲折を経て誕生した1曲目「S.O.S.」について書こうと思います。
The World Will Tear Us Apart 『Let's Get Lost』制作ノート - はじめに / 制作環境について
はじめに
The World Will Tear Us Apart の活動10年目にして初のアルバム『Let's Get Lost』が2019年12月25日にリリースされました。(http://hyperurl.co/uuyx1u)私はギター演奏のほか全曲のミキシングを担当しています。
リリースから3ヶ月が経ち、制作にまつわるあれこれを書き残しておきたくなったので少しずつ書いていこうかなと思います。アルバムをより楽しむための資料、あるいは音源制作を始める際のヒントとして役立てていただけると幸いです。
作詞・作曲をやっているのは私ではないのでミックスやサウンド面の話が中心になるかと思います。
制作環境
DELL Vostro 3558(通販とかでよくあるラップトップPC。就職時に購入。)
OS: Windows 10
メモリを4GB→8GBに増設
ハードディスクをSDD(500GB)に換装 これでかなり作業が快適になりました。
DAW:Ableton Live 10 Suite
もともと富永(Programming)がライブでの演奏用に Ableton を使用していたのでその流れで私も同じDAWを使っています。
オーディオインターフェース:Focusrite Scarlett Solo G2 見た目が最高。今は後継機種のG3というやつが出てるらしいです。
ヘッドフォン:AKG K240STUDIO 素直でクリアな音。装着感も良く、なにより安い。
生活環境の都合上ミックスはほぼヘッドホンで行い、ときどきYAMAHAのNX-50(普段リスニングに使っているパワードスピーカー。可愛くて音がデカい。オススメ。)で確認する程度でした。ミックスの最終確認は STUDIO SIMPO をお借りしてSIMPOの機材で行いました。
機材は比較的安価に入手可能なものがほとんです。
制作環境・機材については Fragile Flowers 青鷗さんに相談に乗ってもらったのが大きかったです。持つべきものは宅録友達…。
レコーディング
※Twitter のこちらのタグでレコーディングの様子を垣間見ることができます。
素材の9割は京都の STUDIO SIMPO にて録音。(エンジニアは小泉大輔さん。)
SIMPOでのレコーディングは2017年12月2,3日と2018年2月4日に実施。
一部のヴォーカル素材(S.O.S. / September Song / こどもの国 あたり?)はリテイクのため普通の練習スタジオで私のPCを使ってセルフレコーディングしています。
過去にレコーディングしたテイクから流用している素材も少しだけあります。(京都大学軽音楽部仮ボックス、防音室などで録音。)
エレキギター関連
私の録音パートについて。今回はすべて Fender Mexico のストラトを使用。
アンプはすべてVOX MV50AC。マーシャルのキャビネットで鳴らしてマイク録り。
歪みはコンパクトエフェクターでかけ録り。(メインの歪みは MAD PROFESSOR Sweet Honey Overdrive Deluxe)
空間系エフェクトはすべてDAW上でかけています。ディレイタイムやパンニング、フィルターの設定など緻密にやれたのでこれは成功だったと思っています。
とりあえず今日はここまで。次回はアルバム全体のイメージ、リファレンスなどについて書きたいです。
2017年よかったもの
音楽中心に順不同でいろいろ書き連ねていきます。
↓今年は プレイリストを作ってみたのでこちらもどうぞ。
https://itunes.apple.com/jp/playlist/2017-favorite/pl.u-GgERudNrVLx
↑Apple Music 版はこちら。(Kurt Rosenwinkel だけ無かったので抜けてます)
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Colony House 『Only The Lonely』
2017年リリースのアルバムの中では特にお気に入り。僕の大好物であるスタジアム・ロック的なものとインディ的なものがいい塩梅で折衷されていると思います。
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Batsch 『Batch』
イングランド/コヴェントリー出身のオルタナティヴポップバンド Batsch のデビュー・アルバム。ツイッターで Banana Collection のウメザワ君がツイートしてて知りました。↑の曲のアウトロのギターが良すぎて何かの間違いで僕が弾いたことにならないかなと思っています(ならない)。後半レアグルーヴっぽいノリが出てくるのもシブいです。
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U2 『Songs Of Experience』
前作『Songs of Innocence』と対になる形でリリースされることが予告されていたU2の新作。「自分が死んだかのように書くのだ」とのコンセプトのもと、ボノの家族やファンを含む親しい人々への手紙という形をとった曲が収録されています。
そのようなコンセプトに加えトランプ政権誕生以降のムードもあり、全体的に重めな曲が続く中で飛び抜けて明るい「The Showman」がお気に入り。"僕は生活のために嘘をつく / 虚勢を張るのが大好きなのさ / だけど君が一緒に口ずさんでくれると / それが本当になるんだよ…" という詞がパフォーマーとオーディエンスとの関係性をうまく言い当てていてグッときます。
サウンド面では随所でU2のトレードマーク・サウンドを展開させながらも、前作から続くジ・エッジのファズ狂いっぷりや前作のツアーから使用しているフェンダー製シグネチャーアンプの艶やかなクリーンサウンド、アコースティックな質感、そしてここに来て大きな進化を遂げているアダムの骨太なベースなど聞き所が多いです。
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Syrup16g 『delaidback』
(ついにアルバムリリース時に公式でMVが作られなくなってしまった…笑)
再結成後Syrup16gによるdelayedシリーズ3作目。綴りが変だなと思ったらレイドバックとかけてるんですね。初期の曲から「犬が吠える」時代の曲までが収録されていますが、一部は現在のモードで書き直されているようで統一感があります。
今となっては "ひとは独りでも生きていける" (「upside down」)と必ずしも思えませんが、それでも五十嵐隆が10年越しでそう歌ってくれたおかげで10代の頃の自分が救われたような気がします。
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京都のバンドギリシャラブのファースト・アルバム。前作のパワーポップ的な要素は薄れ、よりストレンジかつポップな方向に突き進んだ傑作。シリアスなものとユーモラスなものは紙一重であるということを感じさせてくれます。年末のレコ初ライブでの演奏も素晴らしく、新曲(↓)も発表されておりこれからがますます楽しみです。
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Transit My Youth 『FAN CLUB』
自分も参加しているのでここで挙げるのは反則(販促)な気もしますが……。
大阪のオルタナティブ・インディ・シンセポップバンド Transit My Youth のファースト・アルバム。独白のようなヴァースからサビの合唱になだれ込むカタルシス、「孤独をアンセムとして歌うこと」こそが彼らの真髄だと思っています。ジャクソン5的なノリとJ-POP的なメロディが合体した「Help」がお気に入り。"嗚呼 どんな声を出して / 何を伝えたいんだろう? ねえ / 本当は何もないさ / 僕ら叫ぶだけ"。
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SEKAI NO OWARI - ドーム・スタジアムツアー2017「タルカス」
2017.2.11 @京セラドーム大阪
ずっとライブを見に行きたいと思っていた SEKAI NO OWARI のドーム・ツアー。巨大な「Tree」がそびえ立つ360°ステージや、MCなしで物語パートと演奏パートが交互に進行していく構成が面白かったです。オーケストラ(物語パートの伴奏も務めるんですがこれがとても良い!)を率いた大人数の編成も巨大なステージに映えていました。
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少女都市『光の祭典』
2017.4.30 @大阪市立芸術創造館
葭本未織さんを主宰とする劇団「少女都市」の第2回講演。映画サークルを舞台に繰広げられる青春群像劇。本作で扱われている題材としては「女性」「暴力」「震災」などがありますが、そのどれもが紋切り型に描かれていないのが本作の魅力だと思います。性暴力事件の組織的な隠蔽や被害者への抑圧、ハッシュタグ #MeToo による告発が話題となっている今、「他者から与えられた暴力を、また他の他者へ還元することなく克服することはできるのか?」というテーマの重みは日に日に増しているように感じられます。2018年には兵庫県伊丹市での再演が予定されているようですので、ぜひとも足を運んでみてください。
【 光の祭典・再演決定! 】
— 少女都市 GirlsMetropolis (@shoujo_toshi) 2017年10月7日
平成30年度 次世代応援企画break a leg 参加団体へ選出され、兵庫県伊丹市AI・HALLにて『光の祭典』の再演が決定いたしました。
詳細は追ってお知らせいたします。https://t.co/HQ3TfJKyNO pic.twitter.com/9B1i7w9HfU
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小林エリコ『この地獄を生きるのだ うつ病、生活保護。死ねなかった私が「再生」するまで。』
↑紹介は公式サイトが詳しいです。
生活保護受給者となり、生活保護から抜け出した著者による貴重な証言。ブラック企業、精神障害、生活保護など重いテーマを扱ってはいるものの読みにくさは一切無く、ひき込まれるように読み進めてしまいました。病院で働いている身としては中盤の医療と金の問題、ケースワーカーの怠慢などが印象的でした。これらの問題を自分にも起こりうることだと考える人も、遠い世界の話だと感じる人も、本書で彼女の人生を追体験する価値はあると思います。
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2018年は The World Will Tear Us Apart のアルバムでみなさまの年間ベストに食い込めたらいいなと思います。
それではみなさま、良いお年を。
2016年に聴いた音楽
例によって2016年ベストアルバム!みたいなのをやるほど新譜を聴いていないので、2016年良かったと思う音楽を順不同で紹介します。
今年は例年にも増して知り合いのリリースが良かったです。
来年こそは我々も…。
Mitski - Puberty 2
「思春期2」というタイトルが最高。「Your Best American Girl」 は2016年個人的ベストソングであり、結局のところ私はコンプレックスを昇華した詞とオルタナ的ギターサウンドが好きなんだなと実感させてくれた曲。「I Bet on Losing Dogs」なんかも、絶望的でありながら彼女らしい優しい目線が感じられて好きです。
松ノ葉楽団 - JOURNEY
飲酒系ラグタイムバンドこと松ノ葉楽団のセカンド・アルバム。ライブを見ていても京都の中堅バンドとしての貫禄がどんどん出てきてて、このまま長く愛されるバンドになるんだろうなと思っていた矢先、活動休止を発表。残念です。
新しい曲からライブで長らく演奏されてきた曲までカラフルな9曲が収録。ラストの「傾いた絵」は松葉さんの真骨頂であり普遍的な良さのある名曲。
ぼくは前作 『Everything Will Be Alright in the End』 が大好きで今作はそれほどでもないかなあと思っていたのですが、聞けば聞くほど好きになってきたアルバム。
Easy Yoke - Soft Laws
Easy Yoke / Soft Laws | diskunion.net JAPANESE ROCK・POPS / INDIES ONLINE SHOP
京都を拠点に活動する ネオ・フォークバンド、Easy Yoke のファーストEP。京都にこんな壮大なサウンドを鳴らすバンドが居ること、もっと知られて欲しい。
しずくだうみ - 都市の周縁
ラグチューシャックのラストライブに出演してもらったり、 EPにギターで参加させてもらったりと親交のあるシンガーソングライターしずくだうみさんのファーストフルアルバム。踊ってみた、大喜利、アイドルのプロデュースなど活動は多岐にわたる(?)彼女ですが、このアルバムを聴けば何よりも「うた(=歌詞、メロディ、声)」を大切にしている人物であることが分かるはず。
瑞々しいバンドサウンドにアレンジされた「ぐるぐる」がお気に入り。
Fragile Flowers - Asylum Piece (-True End盤- / -Bad End盤-)
Tenkiame / Boyish 等のメンバーとして活動してきた中邑氏のソロ・プロジェクト。本作を構成する国内外の音楽・小説・ノベルゲームその他からの膨大な引用を追うことは僕には出来ないけれど、この作品に込められた切実さを感じることは容易い。
音楽性は違えど今作は中邑氏にとっての『金字塔』のような作品だと思っているので、これから『太陽』や『ERA』『100s』のような作品を作ってくれることを期待している。(今後はメンバーを迎え音楽ユニットとして活動していくようなので楽しみ。)
For Tracy Hyde - Film Bleu
ヴォーカリストの脱退・加入など 紆余曲折を経てリリースされた For Tracy Hyde のファーストフルアルバム。宅録時代の良さを残しつつも、しっかりバンドとしての作品になっている点が素晴らしい。(とくにこのアルバムにおける Mav 氏のソングライター・ベーシストとしての貢献は見逃せない。)全曲名曲だけど、夏bot / Mav の共作による「あたたかくて甘い海」がお気に入り。
ArtTheaterGuild - 4AM MELLOW DIVERS
ArtTheaterGuild / 4AM MELLOW DIVERS(新装版) | HOLIDAY! RECORDS DISTRO
The Pillows が脱オルタナを宣言した今、第3期ピロウズの精神を継承できるのは ArtTheaterGuild しかいない!(って言ってたんですがピロウズの次作はオルタナ回帰するみたいですね…。)山中さわお氏本人の耳に届いたばかりか、新たにミックスまでしてもらったという夢のような話、羨ましい。
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思い出したら追記するかもしれません。みなさま良いお年を。
Favorite tracks of 2014
例年に増して新譜を買わなかったので、知り合いのバンドとか身近なところの音楽を中心に。順不同。
失敗しない生き方 - 私の街
この曲が入っている「常夜灯」は今年最初に買ったCD。
(アルバム版の音源がネットにありませんでしたが、このライブ映像も凄まじい。)
Amia Calva - retro
TJACEPのジャケットを描いてくださった高石さんがアートワークを手がけているということで知ったバンド。
イントロで吹き飛ばされ、中盤のリフレインは耳から離れません。
ライブも超カッコイイです。
For Tracy Hyde - First Regrets
ボーカルにラブリーサマーちゃんを迎えての新録バージョン。
スタジオ・レコーディングでバンド感が増した演奏にも感動しました。
Teenagers in love - キャロライン
新潟のバンド。東京でのライブを見れなかったのが心残りです。
サビのフレーズ「誰にも好かれない君を 僕だけが愛してあげる」がもう反則…。
asayake no ato - 追想と未来
初の全国流通シングル。盤面が透明なのが可愛かったです。
悩みながらも前進していくバンドの姿が楽曲に表れているのが彼らの魅力だと思います。ガンガン売れてほしいです。
EachRaw - 化石
軽音楽部の後輩バンドの曲。サビでちょっと哀愁漂う感じが好きです。
Superfriends - Million Miles Apart
TWWTUAも参加した Miles Apart Records のクリスマス・コンピ収録曲。
クリスマスソングという枠を超えた普遍的な良さがある名曲です。
(ご結婚おめでとうございます!)
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後で思いついたら書き足すかもしれません。
2015年も好きな曲がたくさん見つかったらいいなと思います。
みなさま、良いお年を。