2017年よかったもの

音楽中心に順不同でいろいろ書き連ねていきます。

↓今年は プレイリストを作ってみたのでこちらもどうぞ。 

https://itunes.apple.com/jp/playlist/2017-favorite/pl.u-GgERudNrVLx

 ↑Apple Music 版はこちら。(Kurt Rosenwinkel だけ無かったので抜けてます)

 

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Colony House 『Only The Lonely』

 

 2017年リリースのアルバムの中では特にお気に入り。僕の大好物であるスタジアム・ロック的なものとインディ的なものがいい塩梅で折衷されていると思います。

 

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Batsch 『Batch』

 

 イングランド/コヴェントリー出身のオルタナティヴポップバンド Batsch のデビュー・アルバム。ツイッターで Banana Collection のウメザワ君がツイートしてて知りました。↑の曲のアウトロのギターが良すぎて何かの間違いで僕が弾いたことにならないかなと思っています(ならない)。後半レアグルーヴっぽいノリが出てくるのもシブいです。

 

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U2 『Songs Of Experience』

  前作『Songs of Innocence』と対になる形でリリースされることが予告されていたU2の新作。「自分が死んだかのように書くのだ」とのコンセプトのもと、ボノの家族やファンを含む親しい人々への手紙という形をとった曲が収録されています。

 そのようなコンセプトに加えトランプ政権誕生以降のムードもあり、全体的に重めな曲が続く中で飛び抜けて明るい「The Showman」がお気に入り。"僕は生活のために嘘をつく / 虚勢を張るのが大好きなのさ / だけど君が一緒に口ずさんでくれると / それが本当になるんだよ…" という詞がパフォーマーとオーディエンスとの関係性をうまく言い当てていてグッときます。

 サウンド面では随所でU2のトレードマーク・サウンドを展開させながらも、前作から続くジ・エッジのファズ狂いっぷりや前作のツアーから使用しているフェンダーシグネチャーアンプの艶やかなクリーンサウンド、アコースティックな質感、そしてここに来て大きな進化を遂げているアダムの骨太なベースなど聞き所が多いです。

 

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Syrup16g 『delaidback』 

(ついにアルバムリリース時に公式でMVが作られなくなってしまった…笑)

delaidback

delaidback

 

 再結成後Syrup16gによるdelayedシリーズ3作目。綴りが変だなと思ったらレイドバックとかけてるんですね。初期の曲から「犬が吠える」時代の曲までが収録されていますが、一部は現在のモードで書き直されているようで統一感があります。

 今となっては "ひとは独りでも生きていける" (「upside down」)と必ずしも思えませんが、それでも五十嵐隆が10年越しでそう歌ってくれたおかげで10代の頃の自分が救われたような気がします。

 

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ギリシャラブ 『イッツ・オンリー・ア・ジョーク』

イッツ・オンリー・ア・ジョーク

イッツ・オンリー・ア・ジョーク

 

 京都のバンドギリシャラブのファースト・アルバム。前作のパワーポップ的な要素は薄れ、よりストレンジかつポップな方向に突き進んだ傑作。シリアスなものとユーモラスなものは紙一重であるということを感じさせてくれます。年末のレコ初ライブでの演奏も素晴らしく、新曲(↓)も発表されておりこれからがますます楽しみです。

 

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Transit My Youth 『FAN CLUB』

ttosdomestic.thebase.in

 自分も参加しているのでここで挙げるのは反則(販促)な気もしますが……。

 大阪のオルタナティブ・インディ・シンセポップバンド Transit My Youth のファースト・アルバム。独白のようなヴァースからサビの合唱になだれ込むカタルシス、「孤独をアンセムとして歌うこと」こそが彼らの真髄だと思っています。ジャクソン5的なノリとJ-POP的なメロディが合体した「Help」がお気に入り。"嗚呼 どんな声を出して / 何を伝えたいんだろう? ねえ / 本当は何もないさ / 僕ら叫ぶだけ"。

 

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SEKAI NO OWARI - ドーム・スタジアムツアー2017「タルカス」

2017.2.11 @京セラドーム大阪

 ずっとライブを見に行きたいと思っていた SEKAI NO OWARI のドーム・ツアー。巨大な「Tree」がそびえ立つ360°ステージや、MCなしで物語パートと演奏パートが交互に進行していく構成が面白かったです。オーケストラ(物語パートの伴奏も務めるんですがこれがとても良い!)を率いた大人数の編成も巨大なステージに映えていました。

 

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少女都市『光の祭典』

2017.4.30 @大阪市立芸術創造館

peraichi.com

 葭本未織さんを主宰とする劇団「少女都市」の第2回講演。映画サークルを舞台に繰広げられる青春群像劇。本作で扱われている題材としては「女性」「暴力」「震災」などがありますが、そのどれもが紋切り型に描かれていないのが本作の魅力だと思います。性暴力事件の組織的な隠蔽や被害者への抑圧、ハッシュタグ #MeToo による告発が話題となっている今、「他者から与えられた暴力を、また他の他者へ還元することなく克服することはできるのか?」というテーマの重みは日に日に増しているように感じられます。2018年には兵庫県伊丹市での再演が予定されているようですので、ぜひとも足を運んでみてください。

 

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小林エリコ『この地獄を生きるのだ うつ病生活保護。死ねなかった私が「再生」するまで。』

 

konojigoku.tumblr.com

  ↑紹介は公式サイトが詳しいです。

 生活保護受給者となり、生活保護から抜け出した著者による貴重な証言。ブラック企業精神障害生活保護など重いテーマを扱ってはいるものの読みにくさは一切無く、ひき込まれるように読み進めてしまいました。病院で働いている身としては中盤の医療と金の問題、ケースワーカーの怠慢などが印象的でした。これらの問題を自分にも起こりうることだと考える人も、遠い世界の話だと感じる人も、本書で彼女の人生を追体験する価値はあると思います。

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 2018年は The World Will Tear Us Apart のアルバムでみなさまの年間ベストに食い込めたらいいなと思います。 

それではみなさま、良いお年を。